2015-01-01から1年間の記事一覧

よってしたがってゆえにたとえば

ユーレイに恋をして朝から逃げる。 いつどこでだれと約束したのかもわからずそもそもどのような約束だったのかも思い出せない、だけどとにかくものすごくたいせつな約束だったことだけはおぼえている約束の、たくさんで、しかもたったひとつのまちあわせの場…

ぺらぺらぺら

ユーレイに恋をして朝から逃げる。 彼女の物語は端的にいえばそれだけの物語だ。それ以上でもなければそれ以下でもない。起承転結を述べるだけだったら数行で済むだろう。 にもかかわらず彼女の物語はあまりにも長く、あまりにも時間を食いすぎる。 なぜか。…

るんるんららら~♪

柔らかな明るい器の中にふと渦がひとつ出来たかと思うとそれに続いてひとつまたひとつと大小さまざまな渦があちこちで出来始め、渦が別の渦を巻きこんで大きな渦になったかと思えば、大きな渦が壁にぶつかっていくつもの小さな渦となる。 渦同士が凝集しては…

いいそびれていただけのことばで

「詩的状態ないし詩的感動は(……)一世界、すなわち関係の完全な体系を、知覚しようとする傾向のうちに成立する」ポール・ヴァレリー 「ある本を読んでいるとき、興味がもてないからではなく、むしろ逆に、おもいつきや刺激や連想の波が押し寄せてきて、読書…

ぐーすかぴーすか

むかしむかし世界中のありとあらゆる夢がいっせいに反乱を起こした夜のこと、僕は西へ、彼女は東へ歩き出し、それから何千年何万年何億年と会ってない。いろんなことがあった。太陽と月と星がやってきて海が肥え陸が出来、雨がふったり風が吹いたり花が咲い…